終わらない迷宮の中で

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サラが敵の施設に足を踏み入れた瞬間、彼女の周囲に広がる空間が一変した。 無機質な壁と床が入り組んでいて、まるで無限に続く迷路のように錯綜している。一歩踏み出すごとに、廊下が異なる方向へとねじ曲がり、進むべき道が歪んでいく。 サラは即座に手首に装着されたデバイス、「スペースワープ・モジュレーター」を起動し、空間そのものを操作し始めた。 通常の物理法則を無視し、次元をねじり曲げることで、壁や床の存在を無効化し、自由に移動できるようにする装置だ。彼女の前に立ちはだかる壁は、モジュレーターによって瞬時に歪み、道が開けた。 だが、サラが数歩進んだ瞬間、施設の空間が激しく揺らぎ始めた。 敵もまた、彼女と同じ技術を駆使していたのだ。目の前の廊下が再びぐにゃりと曲がり、彼女の進行方向が突如として閉ざされた。壁が自らの意志を持つかのように折り畳まれ、サラを閉じ込めようとする。
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