終わらない迷宮の中で

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彼女が数歩進んだところで、次の敵が目の前に立ちはだかった。銃口が彼女に向けられる瞬間、サラは胸元に手を伸ばし、銀色の布地を引き出した。 それは「屈折マント」、光を操る特殊な素材でできていて、これを羽織ると彼女の姿は瞬時に周囲の風景に溶け込んだ。敵兵は戸惑い、目の前から突然姿を消したサラを探そうと視線を彷徨わせた。その瞬間に、彼女はすでに兵士の背後に回り込んでいた。 兵士が気づいたときには遅かった。スタンガンで兵士を倒したサラは静かにマントを翻し、その場から離れた。 だが、安堵する間もなく、次の敵が彼女を取り囲んだ。兵士たちは彼女の影を読み取り、マント越しでも捉えようとしていた。サラは、即座に手首に装着されたデバイスを起動した。 それは「ソニックディスラプター」、音波を操る装置だ。スイッチを入れると、敵兵たちの聴覚は一瞬で混乱した。音の洪水が一斉に敵兵を襲い、耳を塞いで耐えようとする隙を突いて、サラは素早くその場を離れた。
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