第1話: 禁忌の遺物と不運な冒険者

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第1話: 禁忌の遺物と不運な冒険者

地上界の広大な原野。 ここは「フォーシア」、冒険者たちが集い、様々な依頼を受ける地。日の光が柔らかく降り注ぐ草原に、ひとりの冒険者が悠然と歩いていた。彼の名前はアレン。肩にかけた冒険者のリュックが、様々な道具でパンパンに膨れている。 アレンは険しい山道を歩きながら、つぶやいた。「もう少しで目的地だ…ここに伝説の遺物が眠っているはずだ。」 突然、リュックがガサゴソと音を立てた。アレンがリュックを開けると、中から小さな妖精が飛び出してきた。妖精の名前はスピリットで、実はアレンのマスコット的存在だ。 スピリットが空中でくるくる回りながら、「アレン、また面倒なものを見つけようとしてるんだね?今回はどんな恐ろしい呪いが待ってるのかな?」と興奮気味に言った。 アレンは笑いながら「心配しないで。いつも通り、僕がうまくやってみせるさ。」と答えた。 山の奥深く、禁忌の遺物が眠ると言われる古代の遺跡。 アレンが遺跡の入り口に到達すると、古びた石門が立ちはだかっていた。彼は慎重にその石門を押し開け、暗い内部に一歩踏み入れた。遺跡の中には、暗い空間が広がり、壁には古代の文字が刻まれている。 アレンは道具を取り出し、光を灯す魔法のランタンを点けた。「さて、探検開始だ。」 遺跡の奥深くに進むと、アレンは大きな祭壇に辿り着いた。その上には、美しく装飾された箱が置かれている。箱には古代の紋章が刻まれており、神秘的な光を放っていた。 アレンは慎重に箱を開け、中から出てきたのは、輝く「堕落の紋章」が刻まれた魔法の石だった。その石を手に取ると、突然、空間が歪み、アレンは強い引力に引き寄せられた。 「うわっ!」とアレンが叫ぶと、周囲が暗闇に包まれ、彼は気を失った。 目を覚ますと、アレンは異世界の荒れ果てた風景の中にいた。 目の前には奇妙な景色が広がっていた。荒れ果てた大地と、赤い空が広がっている。その中で、アレンの目に飛び込んできたのは、腐ったような木々や、恐ろしい魔物たちの姿だった。 「ここは…どこだ?」とアレンは呟き、立ち上がった。その時、スピリットが彼の肩に止まった。 「アレン、ここはアングリス。闇界の一部だよ。どうやら堕落の紋章が強力すぎて、異空間に飛ばされたみたいだね。」 「そうか…これで僕は堕天者か。」とアレンは呟き、周囲を見渡した。 突然、後ろから大きな声が聞こえた。「おい、そこで何をしているんだ!」 アレンが振り向くと、そこには一見して怪しい服装の男が立っていた。男は、まともに動かせるものが少ない古びた鎧を着て、奇妙な帽子をかぶっていた。 「君は誰だ?」とアレンは問いかけた。 「私はこの地域の守護者、リクだ。最近、ここに珍しい訪問者が多くてね。」と男が答えた。 「君も堕落の紋章を持っているのか?」とアレンは聞いた。 「いや、いや。堕落の紋章なんて持ってないさ。ただの守護者さ。あ、そうそう。君が手にしているその石、ちょっとだけ拝借できないかな?」 アレンは警戒しながらも、リクにその石を渡さなかった。「それは僕のものだ。目的があってここに来たんだ。」 すると、リクは突然真顔になり、「うーん、せっかくの楽しい冒険なのに、残念だなぁ。じゃあ、せめてこのまま迷子にならないようにしておこう。」と、突然自分の帽子を脱ぎ、奇妙な踊りを始めた。 「おい、君、何をしているんだ!」とアレンは呆れながら言った。 「冒険者の定番さ、迷子にならないための儀式だよ!」とリクは笑いながら答えた。 アレンはその奇妙な儀式を見て、思わず笑ってしまった。リクの踊りが終わると、「さて、ここからどうやって脱出するか一緒に考えようか。」とリクが提案した。 アレンは頷き、リクと共にアングリスの探索を開始することにした。彼は、これからの冒険がどんな展開を迎えるのか、少し楽しみにしながら歩き始めた <hr> 少しでも面白かったらフォローお願いします 拡散等していただけるとありがたいです
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