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私は山に登り始めました。
一歩、また一歩と危険な岩壁を登りました。
頂上は遥か遠くにあります。
この山には巷で噂が立っていました。
新年が明けて最初に頂上まで着いた者には願いが叶うという話でした。
私は彼とお付き合いしたい願いを込めて頑張りました。
彼は優しい物腰で細身の素敵な人です。
私は噂を信じて、登り続けました。
私がなんとか頂上まで辿り着こうという時に違うルートでやってきている他の人の影が見えました。
私はその人に負けないように一秒でも早く頂上に着きたいと願いながら登りました。
そして結局、その人と同時に頂上に着きました。
同時に着いた場合は私とその人の願いが叶うのだろうかと思いました。
しかしその人を近くで見ると私は震えるほど驚きました。
いつもと全然違う格好で今までわからなかったけど、大好きな彼でした。
私は彼が目の前にいることに信じられない思いでした。
私は彼に聞きました。
「どうしてあなたがここにいるの?」
彼は赤面して俯いて小さな声で応えてくれました。
「俺はあなたのことが好きで山の神様に付き合えるようにお願いしようと思ったから」
私はその言葉を聞いて瞳から大粒の涙を溢して彼の手を取りました。
「私も同じ気持ちです。これから宜しくお願い致します!」
私も彼も涙で顔をくしゃくしゃにして、願いが叶ったことを喜びました。
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