雪男純情秘話

3/7
前へ
/7ページ
次へ
「女性じゃなかったから、雪女じゃなくて、雪男かな」 恋人の部屋で僕は話した。 ずっと言わないでいたのに、大学生になって恋愛が順調で浮かれて。 相手の女性の真奈(まな)は、僕の住んでいた村の、隣りの村の出身だ。 山を挟んで反対側の村の相手と、上京して出会えて意気投合した。 「言うなって言われた話し、しちゃう?」 花柄のコタツを引き寄せた真奈が呆れた顔になった。 「いやいや、話しちゃうものでしょ。で、オチはこうなる? 私がその雪男です」 「違うけど、近い」 真奈がコタツから立ち上がり、台所へ向かっていった。 そして包丁を手に握っていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加