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真奈は自主して、山の遺体は発見されてしまった。
僕は「罪を償ったら、一緒に生きていこう」と、手紙を書いた。
その返事は、まだきていない。
大学を卒業した僕は、故郷に戻り、小さな会社で働いている。
コロは長生きして亡くなり、新しく飼ったチワワと山を散歩する。
もう白いコートの青年は出てこない。
僕は山を歩きながら考える。
雪女の話しのように、僕が雪男の話しをしてしまった。
そのせいで、真奈の罪は明かされたのだ。
それで良かったのだろうか?
あのまま兄の幽霊が山に居たほうが、良かったのだろうか?
答えはどこにもない。
山にたずねてみても、こだまさえも返ってこない。
ただ悠然とそこにあるだけだ。
――完――
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