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「怖い、か......怖いものから逃げてきたのに、まだあるのか」
「お兄さんの怖いことって、なに?」
「夏休みが開けたら死体がみつかる」
「殺したの?」
「そう、付き合ってた女性教師を。
秘密の恋愛って、めんどくさくなってさ、ハサミで刺しまくった。
化学室の教壇の下に押し込めてる」
「これからどうするの」
「勢いでやっちゃってさ、どうしようかなあ?って、
気づいたら電車に乗ってここまで来てた」
「そう、よかった」
「なにが?」
「愚かな男を犠牲にするのは罪悪感がなくて済む」
「え?」
そこで何かが手足に巻き付いてきて、動けなくなった。
細い木の根が、うねりをあげて締め付けてくる。
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