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バキィィィッ!
「うぎゃぁぁっ!」
今度は衝撃音と叫びが同時に起きた。
西側の壁が破られ、森田が同じように牙に刺し貫かれている。
「やまあらしっ!」
筧が叫ぶように言った。間違いない、こんなに大きく猛々しい生き物は、それしか考えられない。
グワゥッ!
雄叫びと共に、やまあらしは顔を振り上げた。森田の体が宙を舞い、床に落ちる。すでに命はなく、廃材のようにその場に転がった。
「畜生っ!」
飯田が銃を撃つ。だが、黄金色に輝く体毛に弾丸は跳ね返された。
体半分部屋に入り込んでいたやまあらしが、外へ出る。
石本が猟銃を手に飛び出す。飯田も続く。
何度も銃声が響いた。2人がやまあらしを撃っているのだ。
しかし、やまあらしは動じない。まさに山のようだ。弾丸を全て体毛の鎧ではじき返す。
「ウオゥッ!」と吠えたかと思うと、やまあらしは突進し始めた。
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