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屈み込み、ほどき始める尊。最初は暴れていた小動物達も、彼の意図が伝わったのかおとなしくなった。
しかし、なかなか進まない。そんな時……。
「手伝おうか?」
後ろから声をかけられ「うわっ!」と驚きの声をあげてしまう。
振り返ると、輝くような笑顔の女の子がいた。
「結衣じゃないか。なんでこんな所にいるんだよ?」
遠山結衣、尊の幼なじみだ。
「へへ……」いたずらっぽく笑いながら隣に座る結衣。「家を飛び出したの見て、ついてきたんだ。そうしたら、こんな山の奥まで来るから驚いちゃった」
結衣は尊の反対側にある紐を、器用にスルスルとほどいていく。
「何考えてんだよ……」
顔を顰める尊。迷惑そうにしながらも、胸はドキドキした。
彼女とは保育園の頃よく遊んだが、4年生の今は2人だけになることはなくなっていた。なので、ちょっと気恥ずかしい。
でも内心では前のように仲良くしたいという想いもある。気持ちがあちこちに揺れてしまう……。
「とれたっ!」
結衣がパッと手を離すと、尊の手の方に紐やビニールが垂れ下がった。解放された小動物達が逃げていく。
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