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何か心当たりが?
そう訊こうとしたが、筧は空を見上げる。つられて見てみると、さっき以上に黒い雲が広がり、今にも雨が落ちてきそうだ。
「いかんな。一雨来る。しばらく足止めされることになるが、ついてきなさい」
筧が足早に進んでいく。慌てて続く真緒。
「どこへ?」
「あっちに小屋がある」
導西村をはじめ近隣に住む者達により、山中で何かあった時のためにと建てられた小屋だそうだ。荒天時の一時避難所としても使われているという。
丁度着いた頃、激しい雨となった。
「うわぁ、山の天気は変わりやすいって言うけど、嵐みたいですね」
真緒が濡れた上着を脱いで、近くにあったイスにかけながらぼやく。
入ってみると結構広い建物だった。平屋だが、奥にトイレや浴室もあるらしい。
窓を少し開けて外を見た。雨が吹き込んでくる。しばらく動けないが、夕刻前にやんでくれるだろうか?
微かな不安を感じ、溜息をついた。
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