宮廷”雑用係”

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 宮廷魔術師と言ってもアクトが魔術を使うことはほとんどなかった。  いつも”雑用係”の名に恥じぬよう、何でも屋のように王宮内を動き回っている。  時に、回廊の壁の修繕を。 「アクト様は、背がお高いので助かります」 「なんのなんの」  時に、王妃が逃がしてしまった飼い猫の追跡を。 「ウル! もう見つけたの? 良かったわぁ。外に出てなくて」 「ご無事で何よりです」  時に、晩餐会に出す為の新作料理の味見を。  匙の上の料理を口に含んだ瞬間、アクトは青い顔をする。 「これは……少々、奇をてらっているかと……」 「そうですか?」  最近雇われたばかりの料理長は不満げだったが、アクトは数日寝込んだ。  
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