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そして。
今に至る。
大学を卒業し、俺は保険会社に就職した。
カフェバイトのスキルは仕事ではほぼ役に立っていないが、初任給で何より先に買ったものはコーヒーマシンだ。
例の彼にも飲ませたがピンと来ないようだった!
「普通だね」
「普通に美味いのが良いんだよ」
「なるほど? ごめんね。あのね、僕は紅茶の方が好きなんだ」
「……」
何で一緒にいるのか分からない。
何でカフェに来た時に毎度カプチーノを頼んでいたのかも分からない。
最近の彼は長い休みの度に会いに来てくれる。
だから、遥々やってくる彼の為に一人暮らしに不似合いな大きなベッドを買ったのだ。
朝は必ず毎日コーヒーマシンを稼働させる。
彼は来年からこの国で本格的に仕事をすると言う。
電光掲示板を見る。乗るべき便が搭乗中の表示に変わった。
俺は今からあなたに会いに行く。
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