11人が本棚に入れています
本棚に追加
2
自分の言葉が通じてないんじゃないか、と思いながら話すなんてストレス溜まるから。
「俺、帰ります」
「突然どうして? 食べ物が勿体無いですよ。心配しないでください。全部僕が払います。僕が誘ったんだから。はっはっは」
彼は高らかに笑うのであった。金のないカフェバイトの大学生にコース料理なんて払わせないよって言ってくれてる? うるさいなっ。
運ばれてきた美味しそうな前菜を見て席に着いた。
「気に入ったんですね。良かったです。期待? 期待した?」
「こういうのは期待とは言いません」
「それでは何と言うんですか」
「これは」
これは。何と答えたら良い。目の前の青い目の男は俺の言葉を待ってニコニコしている。
こちとらガイジン対応仕様じゃない。思案しながらフォークで突き刺したそれを口に運べば、自然と口から出てきた。
「食欲です」
最初のコメントを投稿しよう!