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   例のゼミの女の子から付き合ってと告白されて速攻で断った。それだけでどっぷり疲れてしまったその日の夜に、例の彼から連絡が来た。無視出来ない。連れていかれた先で今度こそハッキリ言おうと決めた。  ピアノの生演奏をバックにだ。 「もう連絡して来ないでください」 「それは寂しいから嫌です」 「今日で会うのは最後ですよ」 「どうしてですか?」  恐らくこれは最後でなくて。次も平然と連絡を寄越してくるに違いない。  案の定、来た。しかも高級レストラン路線はやめてくれない。同僚に勧められたそうだ。今回は静かな和食料理店。  パーカートレーナーで入るところじゃなかった。  だから――。 「あんたは誘う相手を間違ってるんだって」 「ここはいろんな日本酒があるそうです」 「分かったよ。でももう俺相手に気張るなよ」 「気張る?」  繋がらない言葉の確認。 「次はあなたが好きな店に連れてってよ」 「……なるほど」  こっちは背伸びしたい方だけど、俯瞰してみたらこの関係がおかしいかどうかぐらい分かるから。    
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