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パレットに暗緑色を作り、筆先に付けて画用紙に滑らせる。テーマは『自然』。青天井と木漏れ日が注ぐ森を描きたかったが、青と黄色は使えなかったため、淡緑と白で晴天と柔らかな光を表現した。
絵画コンクールに提出するため、部長権限で鍵を借り、この一ヶ月、毎日昼休みに美術室に篭っては絵を描いている。あとは細かい箇所の色彩の調整を残すのみ。
黒褐色を作り、木の幹の部分に筆を入れた瞬間、入口のドアが勢いよく開いた。バァンという音が美術室中に響く。吃驚で筆先がずれてしまった。
「おい、ノロマ」白石が鋭い目つきを携え、こちらへ向かってくる。
側で立ち止まった白石を見上げ、「何ですか」と問うた。
「何ですかじゃねぇよ」白石が掌で机を強く叩く。筆洗バケツの中の濁った水が揺動する。「なぜ焦げた卵焼きを食べさせた?」
昼休み前の四時間目、調理実習の授業で和食を作った。班ごとに各々作りたいものを提案し、メンバーで分担して料理をした。
班の中で卵焼きを担当したのだが、焦げの具合を見極められず、ついには表面が黒い卵焼きを生んでしまった。
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