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あれから何度も物を失くし、教科書を買い替え、制服を汚され、父は僕の管理ができてないと母を責めた。そうして両親が離婚して、その原因を母に押し付けられた。お金がなく、大学にも行けなかった。
こうなったのは全て、白石さんのせいだった。君がいなければって何度も思った。
一年前、同じ美術部だった加藤が職場の先輩とガールズバーに行ったらしく、そこで白石さんが働いていたという話を耳にした。僕は君の仕事が終わるまで店の外で待ち、その跡をつけた。部屋を特定し、配達エリアをそのアパートがある地域に変更してもらった。
口説くのは簡単だった。君は人をアクセサリーとしか思ってないから、見た目を整えただけで軽々とついてくる。笑けてくるよね、昔いじめてた奴に抱かれてんの。
今でも生々しく夢に出てくるよ。おにぎりをぶつけられ、心臓が痛くなることも。プールに沈められ、このまま溺れて死ねたらと願ったことも。丹精込めて描いた絵を一瞬で壊され、精神が崩れ落ちそうになったことも。
少しはマシな人間になっているかと思ったけど、人の性格はそう簡単に変わるもんじゃないんだね。
憎い? 悔しい? 腹が立つ?
僕はもう満足したからさ、今すぐ出てってよ、この部屋から。
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