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「前から思ってたんだー」目の前で白石が社会科の教科書を一ページずつ割く。「陰キャなのに出しゃばりやがって鼻につく」
「はーい、せきがはらぁ」カケルが右腕を真っ直ぐに挙げ、四時間目の失態を小馬鹿にしたような口真似をした。
それを見た白石が手を叩きながら、教室に響き渡る高笑いをする。
彼らにとっては、きっかけなんて何でも良かったのだろう。普段物静かな女子が授業中に何度もトイレに行くようになったことを小馬鹿にしたり、真面目な男子が女性アイドルを追っかけていることが判明すると「キモい」「近付くな」などと暴言を吐く。人と少しでもズレていると、過敏に反応するような下劣な人種。自らが世間から大きく外れていることを自覚せず、このまま大人になるのだろうか。
自分が標的にされたのは、とても下らない理由からだった。社会科の授業中に小テストの回答を発表する際、誤った答えを披露してしまった。ただそれだけのことだった。このまま数週間耐えれば標的が移る、そう信じていた。
この頃からだろうか、世界の色が歪んだのは。
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