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隣の部屋から聞こえる洗濯機の稼働音が22時を知らせる。この一年の思い出に長い時間浸っていたことに気付く。LINEを開き、『そっか、楽しみにしてたのに』と返信すると同時に、鍵の開く音がした。
真がただいまも言わずにリビングへ入ってくる。紺色の作業着とキャップ。右手にはおにぎり、左手にはおかずが入ったタッパー。
「遅かったね」朱音は真を見上げ、その端正な顔立ちを眺める。「あー行きたかったなぁ」
次の瞬間、真が右手を振り上げ、朱音の肩におにぎりを投げつけた。
「卵焼き嫌いだって言ったよな」
真はその語尾を震わせながらタッパーを開き、中のおかずを朱音の頭からぶち撒けた。
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