私らしい幸せ

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 霧矢とは中学の時からの同級生だ。  あの頃は今より仲が良くて、私たちの間にはいつも笑顔が絶えなかった。  高校受験を終え、残りの中学校生活を思う存分楽しもうと意気込んでいた私に突然告げられた両親の離婚話。  原因は、専業主婦だった母親の浮気だった。  私と康太は当然の事ながら父親を選び、今後の事を考慮して私の高校の近くに引越した。  入学式で久しぶりに会った霧矢に声をかけようとしたら、私を冷たい目で睨み 「最悪」 と言って目を逸らされた。  原因は、埋もれていたLINEメッセージの中にあった。 『話したいことがあるから、卒業式の後会おう』  充電が切れたまま放置されていた携帯の電源を入れたのは3月の終わり。既に卒業式は終わっていたし、引越しも済んでいた。  入学式のクラス名簿…祈りも虚しく、まさかの同じクラス。  そして現在(いま)、9月下旬。  霧矢とは相変わらず気まずいままだ。
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