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差し伸べた手が勢いよく弾かれた。
「いらねぇよ」
その"拒絶"が胸に突き刺さる。
息…苦しい。
ちゃんと、吸わないと…。
手の平を見つめたまま動けずにいた。
出会い頭にぶつかって吹っ飛ばされた霧矢は、不貞腐れた顔をして立ち上がる。
霧矢はそのまま私の横を通り、去って行った。
自分より小さな女子とぶつかって、吹っ飛ばされて、手を差し伸べられる…
かなりの屈辱だったのだろう。
してあげる…が当たり前の環境で生きてきた私は、時折こうして無意識に他人を傷付ける。
「…あーあ、またやっちゃった」
「点稼ぎ」「媚び売り」「良い格好しい」って散々言われてきたのに、高校生になっても相変わらずの自分…ほとほと嫌になる。
ため息を一つ。
気持ちを切り替え昇降口へと急ぐ。
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