【完結】お父さまの彼氏🩵

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あたしが、驚きのあまり固まっていると、そのお父さまの恋人だという美園さんが、近付いてきた。 「今日から、よろしくね。春菜ちゃん」 そう言って、ニカっと笑った。 その笑い方が、可憐で美しい容姿に似合わず、コミカルだったので、あたしは、なんだかホッとした。 なにせ、お父さまが、あまりに昔の姿のままだったので、怖さがぶり返していたのだ。 だから、歯医者は大嫌いだが、この美園さんには、好感を持った。 、、しかし、ゲイである、、。 いや、あたしは、ゲイに寛大だ。 れっきとした腐女子だからだ。 だが、まさか、自分の父親がゲイだとは、、。 離婚の理由も、それだったのかもしれない、と思った。 そのゲイであるお父さまが、冷たい表情のまま言った。 「葬式が終わったら、家の荷物をまとめて、私たちの家に来なさい」 「は、はいっ! お父さま!」 あたしは、幼い頃の感覚が戻って来て、怯えながらそう慌てて返事をした。 すると、お父さまは、その整った顔を曇らせた。 えっ? お父さまのこんなお顔は見たことがなかった。 「春菜、、。今は、昔と事情も違う。私も変わったんだよ」 そう言った。
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