【完結】お父さまの彼氏🩵

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どう変わったか、あたしには分からなかったが、お父さまの言う通り、家の自分の荷物を急いでまとめて、お父さまのベンツでお父さまの家へ向かった。 着いたところは、超高級高層マンションだった。 億ションというより、もう億を超えた兆ションだった。 そこの最上階が、お父さまと美園さんが一緒に住んでいる家らしかった。 あたしは、その家の豪華さに眩暈がした。 お父さまが大会社の社長であることは知っていたが、これ程お金持ちだとは想像してなかった。 「春菜、今日からこの部屋を使いなさい」 お父さまが案内してくれた部屋は、二十畳はある大きな洋室で、天蓋ベッドがあり、お姫様の部屋のようだった。 そして、超高級な北欧製の勉強机もあった。 あたしは、今までお母さんと慎ましい暮らしをしていたので、なんだか、嬉しいより恐ろしくなってきた。 「お、お父さま、、あたし、こんな部屋に住めません、、もっと小さな部屋でいいです、、」 お父さまは、ため息を吐くと言った。 「まず、そのお父さま、と言うのは、もうやめなさい。お父さんでいい」 「は、はい! 分かりました! お父さま!」 あたしは、またお父さま、と言ってしまった。 だって、幼稚園の頃、つい、「おとうさん」と呼んでしまったら、正座をさせられ、二時間も延々と言葉遣いの重要性を説教されたのだ。 その時の足の痛さと恐怖は忘れられなくて、体に染み付いている。 早々そのことは忘れられない、、。 しかし、そんなあたしとお父さまを見ていた美園さんが、笑って言った。 「シュウちゃん、そんな怖い顔で、命令したって急には慣れないよ」 シュ、シュウちゃん?! お父さまの名前は確かに、成宮秀一、、シュウイチというが、シュウちゃんと普段呼ばれているのか?! 「貴志、その呼び方は、やめてくれと言ってるだろう」 お父さまが、恥ずかしそうに言った。 お父さまが、恥ずかしがっている?! あのお父さまが!!! あたしは、驚きを通り越して、慄いた。
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