【完結】お父さまの彼氏🩵

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着いた歯科医院は、キレイで大きな建物だったが、出ている看板に、 『たか歯科医院』 と書いてあった。 美園さんは笑いながら、言った。 「貴志だから、たかしか? なんちゃって!」 ダジャレで病院の名前を付けるとは?! あたしは、思わず虫歯の痛みを忘れて笑ってしまった。 美園さんは、なんだか面白い人みたいだ。 その美園さんが、あの怖いお父さまとどうして付き合うようになったのか、謎だ、、。 あたしは、でもとにかく歯が痛くて堪らなかったので、美園さんに診てもらうことにした。 白衣姿になった美園さんは、ピンクの白衣で優しい歯医者さん、という雰囲気だった。 しかし、診察台に坐った私に向かって、ニヤリと意地悪く笑って言った。 「春菜ちゃん、この世で一番痛い注射って、歯の神経にする注射なのよ」 「えっ?!」 あたしは怯えた。 そのあたしに容赦なく告げた。 「イッチバン痛い注射してあげる!」 「ええっ?! そ、そんな?! 何でですか?!」 悲鳴のように叫んだあたしに、美園さんは、悔しそうに言った。 「だって、シュウちゃんの一番大事な人は春菜ちゃんだもん。妬いちゃう!」 えええっ?! お父さまの一番大事な人があたしって?! なんで??? そんなわけない!!!
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