【完結】お父さまの彼氏🩵

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あたしは、あまりに意外なことにびっくりしたが、どうして美園さんはお父さまが子供の頃のことをよく知っているのだ? あたしの疑問が分かったように、美園さんが付け加えた。 「私ね、子供の頃、シュウちゃんの家の隣に住んでたの」 「あが?!」 あたしは、口を開けたまま驚いた。 美園さんとお父さまは幼馴染みだった?! 「私の家も裕福で大きかったけど、シュウちゃんの家には全然敵わなかったわ。お父上が大企業グループの会長さんでね、すごいお金持ちだったの」 たしかに、お父さまは、大きな会社を経営していたから、それは受け継いだものなのだろうか、、。 でも、ニグレクトって、、。 普通、貧しい親子間で起こるものではないのか、、。 その疑問も美園さんには分かったみたいで、言った。 「シュウちゃんのご両親は、その会社経営に必死で、シュウちゃんの教育を全然しなかったの。だから、シュウちゃんは小学校に初めて入学するまで、自分の名前も書けなかったし、生活全般のことも教えてもらってなかったわ」 「せいがつでんぱん?」 あたしが口を開けたまま訊くと、美園さんは続けた。 「生活全般っていうのはね、食事の仕方、、お箸の持ち方なんかはもちろんだし、挨拶の仕方も全然知らなかったの。で、小学校は、上流階級の子どもたちが通う学校だったから、シュウちゃんはすぐに、いじめにあってね、、」 「あがめ?!」 「ええ。いじめよ。周りの子は、みんな自分の父親のことを、『お父さま』と呼んでいたのよ」 あたしは、なんだか、お父さまのことが可哀想になってきた。 そして、あたしの躾が厳しかったのは、、、。 「そうよ。春菜ちゃんの思っている通りよ。シュウちゃんは、自分みたいにいじめられたりしないように春菜ちゃんにはいろいろ教えたかったのよ、、。でもその教え方が、よく分からなかったの。自分が教えてもらってないから、、。だから、厳し過ぎてしまった、、」
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