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「ねえ、あと一回!一生のお願い!」
また、始まった。
家族で買い物に出かけた時の恒例行事。
私の家族構成は、父、母、私、妹という、ごく一般的な四人家族。
週末になれば、家族で近所のショッピングモールに出掛け、買い物とランチを楽しむ。
それにしても、今回のは何回目の『一生のお願い』だろう。
『一生のお願い』は一生に一回だけ出来るから『一生のお願い』なんでしょ。
そんなに頻繁に使えるなら効果はないんじゃないのかな、と思ってしまう。
ショッピングセンターの片隅、ガチャガチャがたくさん並べられているコーナーに大きな声が響いている。
周りの家族連れたちがチラチラと好奇の目で見ているようで恥ずかしいから、やめて欲しいんだよね。
こんなにグズっている原因はというと、五人の美少女たちが悪に立ち向かうアニメのキャラクターグッズが当たるガチャガチャで気に入ったキャラが出ないからだ。
そのために人生何回目かの『一生のお願い』を繰り出している。
呆れる私をよそに、
「お姉ちゃんだけズルーい!」
「自分の分はやったでしょ。計画的にお小遣いを使わないから、そうなるのよ」
正論で言い含められたら、言い返すことも出来ない。
ガックリと項垂れてしょぼくれている。
悪いのは自分だって分かっているくせに、世界の終わりみたいに悲壮感を漂わせて周囲の同情を引こうとする狡賢い所がある。
そういうところが私は嫌いだ。
悲劇のヒロイン作戦が失敗に終わったと悟れば、強硬手段に打って出る。
「やだー!絶対やだー!」
床に寝転がって駄々を捏ね始めた。
人前で騒ぐ恥ずかしい二人の関係者だと思われたくない私とお母さんは、少し離れた所で様子を見ていたが、もうそろそろだなという雰囲気を感じ取り目を合わせた。
毎回の事だけど、今回もイライラの限界に達した妹はキレる。
「もう、いい加減に恥ずかしいからやめてよ。お父さんっ!」
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