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距離を詰めようとして来るレイチェル嬢に向かい私は鉄壁のガードを崩さない。
「レイチェル嬢、日差しが強い。傘一つでは心許ないだろう。誰かレイチェル嬢の両側から傘をさすように」
「かしこまりました」
控えていた者がレイチェル嬢の両側から傘をさす。必然的に私との距離が離れる。
「アーサーさま、私は大丈夫ですわ。
アーサーさま、アーサーさまはとても歩くのが早いのですね。あの、」
「あぁ、レイチェル嬢、傘をさしてくれる者達も大変だから、ゆっくりで構わない。私は先に行くが、レイチェル嬢はこのまま、真っ直ぐ景色を楽しんでいってくれ」
私は一刻も早く退散したかった。
「えぇ⁉︎ アーサーさま。あのこちらは入り口では?」
一旦歩みを止めると、振り向いてレイチェル嬢に声をかける。
「レイチェル嬢、このような日差しの下にあなたを長時間留まらせるのが心配なのだ。今日の日差しは肌に良くない。」
軽く微笑んでみせる。
レイチェル嬢は私に見惚れていたようだか、我に却って返事をする。
「アーサーさま、それでしたら室内でご一緒しませんこと?アーサーさまに女神像への贈り物についてもお伝えしたくて。
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