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「ローガン、気にするな。ミシェルは場所など気にするような者じゃない。それに今更ではないか。紅茶の用意を」
「承知致しました」
ローガンは一礼すると、執務室を後にした。
少しの間の後ノックの音が響く。
「失礼致します、アーサーさま。
あら、お仕事中ですのね?」
ミシェル嬢は、落ち着いた淡い色合いの装いだった。
美人ではある。
だが、マリーベルには敵わないな。比べるまでもないが。
「あぁ、適当に寛いでくれ」
ミシェル嬢は、慣れた様子でソファーに腰掛ける。
「はぁ、相変わらずですのね。
少しは、私にも取り繕ったらどうなのかしら?
先程の彼女達にしてるように」
「必要ないだろ?
そなたと私では、性格も似すぎている。
腹黒いところとかな。
それに、取り繕ってないのはお互いさまだろ。」
ミシェル嬢は澄ました顔で答える。
「お互い様だなんて。私は、誰に対しても節度をもって接していますわ。アーサーさまと違って。」
「そういう所が腹黒なのだろ。」
「まぁ、ひどい言われようですこと。
どこかの誰かさんのように、マリーベルさまを怖がらせている方よりは、よろしいのではなくて?」
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