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ミシェル嬢は、もの言いたげな目を向ける。
「━━怖がらせるだと?」
「えぇ、偶然王城から帰られる所のマリーベル様をお見かけしたことがありますの。それはもう、ひどく怯えた様子でしたわ。
ふふ。
まさか、好きな方をいじめたくなる……とか、
子供じみた真似をなさってる訳じゃありませんわよね?」
「……」
図星をつかれて言葉に詰まる。
マリーベルが、私を怖がっているだと?
毎回思い当たることばかりで、いつの事かも分からないな。
はぁ、だがあの怯えた様子も可愛い。
ふるふる震える姿は、庇護欲をかきたてる。
この腕の中に閉じ込めていたい。
あの、潤んだ瞳がたまらない。
泣かせてみたい。 ダメだ!
「まぁ、図星のようですわね。
失礼を承知で申し上げますが、アーサーさまは国の未来をどうお考えでしょうか?
マリーベルさまは、次期王妃さまには何かと心許ないかと。
アーサーさまのお気持ちは、存じております。ですが、国の繁栄、安泰を思えばこそ、憂いているのです。」
「いくらそなたでも、聞き捨てならない発言だな。
何を言われようと、私の気持ちは変わらない!」
ミシェル嬢は、紅茶で喉を潤すと、私の顔を見据える。
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