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「お水ならあるのですけれど、お水でよろしいかしら。」
私は、ニコライさまとビルさまを交互にみる。
「マリーベル様、どうぞお気遣いなく。」
無表情で答えるビルに、マリーベルは戸惑う。
ビル様は、何か怒っていらっしゃるのかしら。
少し視線を向けられただけでも、萎縮してしまう。
だめだわ、どうしても苦手だわ。
「マリーベル様、我々のことはお気になさらないでください。体調の優れないマリーベルさまにそんなことはさせられません。どうしてもの時は、私がお持ちします。
まぁ、私から出された飲み物など、ビル殿は口にされないかもしれませんが」
ニコライさまは、随分とビルさまに挑発的な気がするけれど。
「立ち入ったことをお尋ねしますが、お2人はお知り合いなのですか?」
ニコライとビルは、お互い視線を合わした後、ビルが話し始める。
「我々は学園の同期なのですよ。」
「まぁ、そうでしたの。」
「えぇ。まぁ、あまり関わることはありませんでしたが。」
「ビル殿は、アーサーさまの事で忙しかったようですからね。」
「ニコライ殿、それはどういう意味でしょうか?」
「言葉のままの意味ですよ。ビル殿は優秀なのに、アーサー様に付きっきりで。もっと、自分の才能を活かせたのではないか、と思ったまでですよ。」
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