22アーサー視点

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「アーサーさま、ニコライ殿は元はカーギル家に縁のある方です。 訳あって、現在はハリスン伯爵家に世話になっているようですが。    あまり関わることがありませんでしたが、学園の同期生です。 なかなかの好青年で、ご令嬢にも人気の方だとか。そのお姿に見惚れる方も多いと聞きます」 「なんだと? 同期だと? それなりに把握しているつもりだったが、あまり記憶にないな。 ミシェルの身内のニコライ……? 敢えて私を避けていたか もしかして……マリーベルの好みなのか?」  「さぁ、そこまでは。マリーベルさまのお気持ちは、分かりかねます。」 ショックのあまり、ガンガンと机に額を何度も打ちつける。 「……マリーベル……どうしてだ……」 「アーサー様、それと、またあの時の女性を見かけました。神殿に侵入しようとしていたと思われます。声をかけようとしたのですが、中々に用心深く逃げられまして……アーサ様? はぁ、聞いていませんね。ご報告はしましたよ。それでは失礼致します。」 「マリーベル……私の……私の……」 アーサーの悲痛な呼び声と、額を打ちつける音がしばらく執務室に響いていた。
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