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んん?
いけない、いつの間にか眠ってしまったようだわ。
マリーベルはベッドから起き出すと、洗面所へと向かう。
鏡を見ながら軽く乱れた髪をぎこちない手つきでとかし、なんとか身だしなみを整えた。
髪を結わえるのは難しいわね。
アレンジすることができなくて、結局軽く一つに束ねただけだ。
完璧とは言えなくても、自分1人で身支度を整えることができるようになったのは、マリーベルにとって大きな進歩だった。
邸では、こんな風に身支度をすることなんて出来ないものね。
扉をそっと開けると、両側にはエドワードとフレッドが立っていた。
2人とも黒髪を短く切り揃えた似たような髪型で、どことなく雰囲気も似ている。
顔の認識力の低い私には、区別がつかない。
困ったわ。
何とかして覚えなくては。
「あの、ニコライ様の所へ行ってまいります。」
私は2人に遠慮がちに声をかけた。
2人は目配せをした後、1人の騎士が歩み出る。
もう1人は、扉の前を見張ってくれるようだ。
私が歩き出すと、後ろから騎士も付き添ってくれる。
最初にニコライ様とお会いした執務室に行ってみることにした。
中庭を抜けようとした所、例の女神像が視界に入る。
まぁ、なんてこと…‼︎
ニコライ様の言われていた通りだわ。
私は引き寄せられるように女神像へと近づいた。
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