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「見学してもよろしいのですか?」
「えぇ、もちろん。計算作業をしているのですが。あぁ、こちらは口外されないでくださいね。」
と、口元に人差し指を当てて、片目をつぶる。
その仕草に、思わずドキリとする。
な、な、なんて仕草をっ。
ニコライ様は、女性の扱いに慣れていらっしゃるわ。
そんなことをされたら、反応に困ってしまいます。
これはお仕事のことなのですから、真面目に聞かなければ。
ほんのりと頬が色づくのを感じながら、続きの説明を受ける。
「本来は、神官や見習いなど神殿で働く者が携わる作業なのですが、マリーベル様も体験の一貫として特別にどうぞ。」
ニコライは説明を終えると、マリーベルを空いた椅子へとエスコートする。
その後ろに護衛が立つ。
計算?
全く分からないわ。
ニコライはマリーベルの隣へと腰掛けた。
ソファーの時といい、今といい、隣に座るなんて、なんだか恥ずかしいわ。
きっと、学園生活はこんな感じなのでしょうね。
貴族の一部の者達や一般市民の成績優秀な者達は学園へと入学する。
学園へ入学しなくても、家庭教師に習ったり、独学をする者もいる。
学園を卒業していなくても、試験に合格すれば王城に勤めることもできる。
もちろん、マリーベルは学園に通ってはいない。
私は勉強が苦手で、基本的にはエレナがやってくれていたわね…
「ニコライ様。お恥ずかしながら、計算が苦手で分からないのです。
もしよろしければ、私にもお手伝い出来そうな部分だけで構いませんので、教えていただけますでしょうか? 本当に申し訳ありません」
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