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なんだか神殿への体験というよりも、淑女教育だわ。 でも、ここでは、お嬢様の代わりに私がしますから、と誰かに止められることもない。 気になったことは、自分で本を探して調べることもできる。 アーサー様のお茶会や、夜会や、何かの招待状に頭を悩ませる必要もない。 書類作業をしたり、図書室へ行ったり、自由に過ごせる。 ここでの生活は、とても居心地が良かった。 今日も任された書類の計算を黙々とこなす。 えっと、んん?  これは…初めてみる書類だわ。  「ニコライ様、こちらはどのように処理したらよろしいでしょうか?」 「あぁ、こちらは、まずこの部分の金額を、こちらの書類に記入致します。 そして、その金額と、こちらの金額に誤差がないのかを確認してください。 誤差があることはありません。 万が一あった時は、大概書き間違えだと思うので、もう一度よく見直されてください。」 「誤差があることはないと、お聞きして安心しましたわ。」 私はニコライ様にお礼をお伝えして、作業にとりかかった。 うーん。なんだか0が多いわね。 間違えそうだわ。慎重に記入をしましょう。 00…500… これは00…900… 00…4500… なんだかキリが悪い数字ばかりね。 えっと、こちらの金額と誤差がないかを確認、と。 あら? おかしいわ。金額が違う。 きっと、書き間違えたのね。 もう一度ゆっくりと確認しましょう。 うーん… やっぱり違うわ。
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