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マリーベルは隣で作業するニコライへと質問する。
「あの、ニコライ様、少しよろしいでしょうか」
ニコライ様は作業の手を止めて、こちらに向き合う。
「こちらの金額なのですが、誤差がありますの。確認していただけますか?」
私は、書類をニコライ様に手渡す。
「おかしいですね……少々お待ちを」
書類を受け取り確認するニコライの表情が、段々と険しくなっていく。
書類をもう一度よく見た後に、ため息をつく。
「ニコライ様?」
「失礼しました、マリーベル様。
こちらは、神官長にお渡しする書類でした。
こちらの書類のみ神官長担当だったのに、手違いで紛れてしまったようです。
私としたことが……申し訳ありません。
こちらは、大丈夫ですよ。
この書類は、私が後ほど神官長にお渡しします。
マリーベル様は、残りの書類をお願い致します」
ニコライはその書類を、別の書類ケースに保管する。
「はい、では、こちらの書類を処理致しますね」
私は言われた通りに残りの書類作業に取り掛かった。
でも、先程の書類のことが何故か妙に引っかかった。
ニコライさまが大丈夫、と言われていたのだから、きっと大丈夫よね。
考えても仕方ないわ。
集中、集中。
その後は、特に何事もなく、いつも通りに作業を終えた。
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