24

3/3
前へ
/103ページ
次へ
マリーベルは隣で作業するニコライへと質問する。 「あの、ニコライ様、少しよろしいでしょうか」 ニコライ様は作業の手を止めて、こちらに向き合う。 「こちらの金額なのですが、誤差がありますの。確認していただけますか?」 私は、書類をニコライ様に手渡す。 「おかしいですね……少々お待ちを」 書類を受け取り確認するニコライの表情が、段々と険しくなっていく。 書類をもう一度よく見た後に、ため息をつく。 「ニコライ様?」 「失礼しました、マリーベル様。 こちらは、神官長にお渡しする書類でした。 こちらの書類のみ神官長担当だったのに、手違いで紛れてしまったようです。 私としたことが……申し訳ありません。 こちらは、大丈夫ですよ。 この書類は、私が後ほど神官長にお渡しします。 マリーベル様は、残りの書類をお願い致します」 ニコライはその書類を、別の書類ケースに保管する。 「はい、では、こちらの書類を処理致しますね」 私は言われた通りに残りの書類作業に取り掛かった。 でも、先程の書類のことが何故か妙に引っかかった。 ニコライさまが大丈夫、と言われていたのだから、きっと大丈夫よね。 考えても仕方ないわ。 集中、集中。 その後は、特に何事もなく、いつも通りに作業を終えた。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

362人が本棚に入れています
本棚に追加