362人が本棚に入れています
本棚に追加
言葉に詰まるマリーベルの様子を見て、庶子に対する偏見と受け取ったニコライ。
「マリーベル様も、戸惑いますよね。私なんかと関わるのは」
ニコライの心に、ほんのりと暗い影がさす。
ニコライ様は、誤解なさっているわ。そうではないのです! 誤解を解かなくてはっ
「あの、ニコライ様。大変、お恥ずかしいことをお聞きしますが、
その……庶子というのは?」
「…」
「…」
恥ずかしそうに上目遣いで問いかけるマリーベルを見て、ニコライの心を覆いつつあった暗い感情が消え去る。
しばらく、お互い魅入られたように無言で見つめ合っていた。
沈黙を破ったのは、ニコライだった。
「━━ハハハ! マリーベル様には、やはり、敵いませんね。
マリーベル様には、無縁のことかもしれませんね。
庶子というは、つまり、第2夫人の子と言えばお分かりいただけますでしょうか?
不義の子も含まれます。
貴族の中には愛人を持つ者もいますので。
邸内に2人の妻がいて、トラブルが起こらないはずないのに。
数年前に母が亡くなって、私は母の実家のハリスン伯爵邸へと移りました。
書類上は、カーギル家の次男ですが、あそこには私の居場所はありません。
ミシェルだけは、普通に接してくれます。
こんな私を、兄と呼んでくれて……。
色々と噂をされていますが、マリーベル様には、どうしても、自分の口から直接お伝えしたくて。
申し訳ありません、自分でも、どうしてなのか、よく分からないのですが……
マリーベル様には、ありのままの私を知ってほしくて。
こんなこと言われても、困りますよね。
自分でも……どうしてこんな気持ちに」
苦悶の表情をするニコライに、マリーベルは心を痛める。
思わずニコライの手に自分の手を重ねて、優しく包み込む。
「ニコライ様、
ニコライ様が、今までどんなにおつらい目にあってきたとしても、私にはどうすることもできません。
最初のコメントを投稿しよう!