25ニコライ出生

3/5
前へ
/103ページ
次へ
言葉に詰まるマリーベルの様子を見て、庶子に対する偏見と受け取ったニコライ。 「マリーベル様も、戸惑いますよね。私なんかと関わるのは」 ニコライの心に、ほんのりと暗い影がさす。 ニコライ様は、誤解なさっているわ。そうではないのです! 誤解を解かなくてはっ 「あの、ニコライ様。大変、お恥ずかしいことをお聞きしますが、 その……庶子というのは?」 「…」 「…」 恥ずかしそうに上目遣いで問いかけるマリーベルを見て、ニコライの心を覆いつつあった暗い感情が消え去る。 しばらく、お互い魅入られたように無言で見つめ合っていた。 沈黙を破ったのは、ニコライだった。 「━━ハハハ! マリーベル様には、やはり、敵いませんね。 マリーベル様には、無縁のことかもしれませんね。 庶子というは、つまり、第2夫人の子と言えばお分かりいただけますでしょうか? 不義の子も含まれます。 貴族の中には愛人を持つ者もいますので。 邸内に2人の妻がいて、トラブルが起こらないはずないのに。 数年前に母が亡くなって、私は母の実家のハリスン伯爵邸へと移りました。 書類上は、カーギル家の次男ですが、あそこには私の居場所はありません。 ミシェルだけは、普通に接してくれます。 こんな私を、兄と呼んでくれて……。 色々と噂をされていますが、マリーベル様には、どうしても、自分の口から直接お伝えしたくて。 申し訳ありません、自分でも、どうしてなのか、よく分からないのですが…… マリーベル様には、ありのままの私を知ってほしくて。 こんなこと言われても、困りますよね。 自分でも……どうしてこんな気持ちに」 苦悶の表情をするニコライに、マリーベルは心を痛める。 思わずニコライの手に自分の手を重ねて、優しく包み込む。 「ニコライ様、 ニコライ様が、今までどんなにおつらい目にあってきたとしても、私にはどうすることもできません。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

362人が本棚に入れています
本棚に追加