25ニコライ出生

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けれど、これからのことなら、お力になれると思うのです。 ニコライ様が、ご自分に対する噂を気にされているのでしたら、悪女と噂されている私はどうなりますの? 私の噂をご存知でしょう? ふふふ、ニコライ様、実は今回神殿へ滞在することを決めたのは、とても浅はかな考えでしたの。 ある方に人並みになれ、と言われまして、自分の噂を払拭しようとこちらに参りましたの。    ニコライ様は、私のことを噂と違うと言ってくださいましたわ。 私自身を見てくださり、耳を傾けてくださいましたわ。 ここでの経験は、私にとって初めてのことばかりで、とても充実しております。 それは、ニコライ様のおかげですわ。 ニコライ様には、感謝しかありません。 お優しい方です。 ニコライ様がもし、誰かに何か言われたとしたら、私が黙っておりませんわ! こんな、私では、頼りないでしょうけれど……」 って、私ったら、勢いよくとんでもない発言を……。 思わず手を包むように握ってしまったけれど、 ど、ど、どうしたらいいのでしょう? い、い、いつ離せばいいのでしょう、 何かおっしゃってくださいニコライ様。 ニコライ様は、ただ黙って静かに座っていた。 ドク ドク ドク と自分の心臓の音が聞こえる。   手を、手を、離しましょう。 マリーベルは、添えていた手を離そうと動かす。 「⁉︎」 すると、マリーベルの手を今度はニコライが握りしめる。 その手の温もりが、嫌ではなかった。 私達は、目を見合わせると、手を繋いだまま、軽く微笑み合う。 「マリーベル様、あなたにお話しして、なんだか気分がすっきりしました。
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