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私達は裁縫道具を片付けて1箇所にまとめ終えると、再びソファーへと腰掛けた。 ミシェル様は新しい紅茶を淹れる。 「マリーベルさま。 私は、アーサー様とは幼少の頃より交流があります。 マリーベル様の事は、それはもう何度も何度も、耳がいたくなるくらいにお聞きしておりますわ。ふふ。 ところで、マリーベル様。 一つお尋ねしたい事があるのですが、質問してもよろしいでしょうか?」 「ええ、私に答えられることなら」 ミシェルは、マリーベルの目を真っ直ぐに見つめ、逡巡した後に、言葉を続ける。 「ありがとうございます、マリーベル様。 不躾なことをお尋ねするようですが…… マリーベル様は、アーサー様のことをどう思われていますか? アーサーさまのことを、お慕いしているのかしら?」 「え」 アーサー様のこと? ミシェル様はいきなりどうしたのかしら。 こわい……とお伝えしてもいいものかしら。 どうお答えしようかと悩み、口を開こうとした瞬間 「いいえ! マリーベルさま! やっぱり、ちょっとお待ちください‼︎ 」 ミシェルは、言いそびれたことがあるのかマリーベルを制し、言葉を続けた。 「マリーベルさま、私はこの国の安泰を願っておりますの。 失礼ながら、マリーベルさまは、この国のことをどれくらいご存知かしら? 隣国のことや我々貴族や国民達のこと、それぞれの関係性のことやその他政治に関してなども。 将来、王妃様となられ、アーサーさまと共にこの国を支えていく覚悟をお持ちかしら? 私個人としては、今日実際にお会いしてみて、とても可愛らしい方だと思いましたわ。ですが….   失礼ながらマリーベルさまは、とても次期王妃さまの器に思えませんわ。 大変な失礼を承知で申し上げております。 私、自分の発言に責任を持つ覚悟はできております。 短時間しかお会いしてない私が判断することではない、ということも承知の上です。
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