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私も幼い頃より婚約者となるべく、教育を受けて参りました。
アーサーさまの婚約者に相応しいのは、あなたと私、どちらかしら?
よく、お考えになってくださいませ。
本日は、これで失礼しますわ。
それでは、マリーベルさま、ご機嫌よう」
怒涛の如く話終え優雅に一礼した後、ミシェルは持ってきた道具類を手際よく手に持つと、立ち去った。
あまりにも早口で言われたこともあり、頭の中で言葉の意味を理解するのが追いつかない。
マリーベルは半ば放心状態となっていた。
なんとか気持ちを立て直すと、マリーベルも自分の部屋へ戻るために廊下へとでる。
無意識にニコライ様の姿を探す。
もしかしたら扉の前にいるのではないかと、期待して。
けれど、そこにニコライ様のお姿はなかった。
護衛と共に歩き出す。
ミシェルさまに言われた事が、頭の中を占めていく。
婚約者としてふさわしいのは、どちらか?
━━ミシェルさまは、アーサー様をお慕いしているのだわ。
旧知の仲のお二人。
アーサーさまには、いつもお叱りを受けるわ。
怒鳴られてばかりで……。
あまりにも不出来な私のせいで、お2人が会う時間を減らしているだわ。
まるでアーサー様が、私のことを想っているような勘違いをされていた。
あの眉間にシワを寄せたアーサー様と私のお茶会の様子を見たら、誤解だとすぐに分かるでしょうに。
ミシェルさまに……嫉妬されたのだわ。
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