26

5/6
前へ
/103ページ
次へ
私も幼い頃より婚約者となるべく、教育を受けて参りました。 アーサーさまの婚約者に相応しいのは、あなたと私、どちらかしら? よく、お考えになってくださいませ。 本日は、これで失礼しますわ。 それでは、マリーベルさま、ご機嫌よう」 怒涛の如く話終え優雅に一礼した後、ミシェルは持ってきた道具類を手際よく手に持つと、立ち去った。 あまりにも早口で言われたこともあり、頭の中で言葉の意味を理解するのが追いつかない。 マリーベルは半ば放心状態となっていた。 なんとか気持ちを立て直すと、マリーベルも自分の部屋へ戻るために廊下へとでる。 無意識にニコライ様の姿を探す。 もしかしたら扉の前にいるのではないかと、期待して。 けれど、そこにニコライ様のお姿はなかった。 護衛と共に歩き出す。 ミシェルさまに言われた事が、頭の中を占めていく。 婚約者としてふさわしいのは、どちらか? ━━ミシェルさまは、アーサー様をお慕いしているのだわ。   旧知の仲のお二人。 アーサーさまには、いつもお叱りを受けるわ。 怒鳴られてばかりで……。 あまりにも不出来な私のせいで、お2人が会う時間を減らしているだわ。 まるでアーサー様が、私のことを想っているような勘違いをされていた。 あの眉間にシワを寄せたアーサー様と私のお茶会の様子を見たら、誤解だとすぐに分かるでしょうに。 ミシェルさまに……嫉妬されたのだわ。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

359人が本棚に入れています
本棚に追加