30アーサー視点

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この質問をされて、マリーベルさまは何も感じなかった、ということ。 つまり、嫉妬もなさらなかった。 マリーベル様の中に、アーサー様へのお気持ちはありませんね。 だいたい、あんな態度をとって好かれると思う方がどうかと思いますけれど。 大人しく現実を受け止められてはいかが? 女々しいと、ますます嫌われますわよ。ふふふ」 失恋だと?認めたくない! まだ、何も伝えていないのに‼︎ 「それに、マリーベル様には変わられましたわ。 活き活きとしていました。 お兄様も……。 アーサー様、マリーベル様の心の中には、私の兄がいるようですわ。 私の目からみても、お兄様と一緒にいらっしゃるマリーベル様は、とても幸せそうに見えましたわ」 「ぐぬぬっ。ニコライ… ニコライに……私は負けたのか」 「ふふふ、負けたというか、始まってもいなかったのではありません?  素直に言葉に伝えなければ、相手には伝わりませんよ。  マリーベル様は可愛らしいですし、アーサー様には申し訳ないですけれど、兄の幸せを応援しますわ。 アーサー様、そうそう、マリーベル様のお気持ちを確認できたのですから、私に借りを返してくださいませ」 「借りだと? あぁ、そういえばそう言う約束だったな。」 「それに、アーサー様にとってもマリーベル様の好感度を上げる機会になると思いますわ」 「それは、本当だろうな?」 「こちらを後でご覧になられてください。神殿の不正の証拠です。」 私は書類を受け取った。 「こんな書類がよく手に入ったな。分かった。 後で確認しよう。出所は信用できるのか?」 「ええ、もちろん。私が保証いたしますわ。 その方は、証言してくださるそうです。 アーサー様、どうか、お願いいたします! 証言する代わりに、その方の罪を問わないでくださいませ」 ミシェルは深々と腰をおり頭を下げた。 あのミシェルが、私に頭を下げるなど珍しい。 「不正に加担している者を見過ごせと?」 「どうか、アーサー様の先見の明により聡明なご判断を」
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