Cと30

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「まぁ、それはそれとしてだ」  ズィオは再びマルソーに冷たい視線を送った。 「お前らのケツは拭いてやるが、処分の軽減まで上に求めるつもりはねぇ。どんな罰も甘んじて受けろ」  冷たい口調でそう言い放つと、狼狽えた目で何か言いたげに口を動かすマルソーに背を向け、ズィオは病室を出た。 (あいつらを救ってやるのは俺の仕事じゃねぇ。救う気もねぇしな)  ズィオはコートのポケットに両手を突っ込んだまま、後を追いかけてくる看護師待つこともなくエレベータに乗った。  病院を出たズィオは、車の中で数時間振りにタバコに火をつけた。頭を掻き回される事ばかりで、落ち着く時間が必要だった。 「さて、どうしたもんか…」  独りの車内で、ズィオは誰に言うでもなくため息混じりに言葉を吐いた。  上からは、失敗の後始末をしろとだけ指示を受けている。具体的に何をどうするのかは、こちらで考えなければならない。 (マルソーの言ってたことを踏まえるなら、Bを半殺しにした奴の正体を突き止めて始末することが、まずやるべき事なんだろうが)  ズィオは頭の中を整理しながら、それでも解消しない疑問が澱のように自分の底に溜まり、そして疼いているのを感じていた。 (そういや、ガキはどうなったんだ)  不意にその事を思い出したズィオは、どうにもそれが気になり始めた。そして思い立ったようにポケットからスマートフォンを取り出すと、どこかに電話を掛けた。 「おう、どうも。課長呼んでもらえるか?ズィオからだって伝えりゃわかるから」  出来るだけ愛想良くしたつもりだったが、電話の向こうに居る若い男の声は、ズィオにもわかるくらい緊張していた。  電話の向こうから数秒間の保留音が流れた後、さっきの若い声とは好対照を成す酒とタバコにやられた声が聞こえてきた。 「なぁ、警察の電話に直接掛けてくるなっていつも言ってるよなぁ」  開口一番、声の主は苦々しげにそう言ってきた。 「携帯の番号だって教えてんだから」 「そう言うなよ課長」  ズィオは相手をなだめすかすように笑いながら言った。ズィオが電話を掛けたのは、シエラの警察本部にある組織犯罪を担当する課の課長だった。
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