プロローグ

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プロローグ

 チャンスはあと一回、あと一回なんだぞ? 上手くやれるな? 私。  ヒルリアはそう心の中で念じながら、鏡に映る自分を見つめていた。鏡の中から見つめ返すのは、艶やかな黒髪と赤い瞳を持つ迫力のある美女だった。  大陸を征服したブリターア帝国の、その(いくさ)の先頭に立つ英雄姫(えいゆうき)(よわい)二十八才の、黒豹にも例えられる猛々しい王女、それがヒルリアだった。  だが、今の彼女は二つ名にも相応しくなく、大いに弱気になっていた。  その原因は……。  話は、半月前に遡る。
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