長い逃亡生活

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私は数人の女性とグループで逃げることにした。 他の女性も幼い子供を連れた人も多く、一番下が私の息子で、一番上はある女性の弟で15歳だった。 とある建物にいた私達は、眠れない夜を過ごしていた。 夜になると、ソ連兵が女性を物色しに来るのだ。 眠っている幼児達と15歳の男の子をそのままにして、私達は隣の部屋で隠れて息を殺した。 子供を連れて隠れると、無理に起こされてぐずって泣き始めたら、私達は逃げられないから。 そしてソ連兵は幼児達が眠っている部屋で女性を探していたが、私達がいるはずもなく。 ただ15歳の男の子は女子と思ったソ連兵が股間を触ったが、すぐに男と分かったようで、起きてしまった男の子と握手をして出て行ったと彼は話していた。 そして私達も本当に逃げないと逃げられなくなるという話し合いになり、数人の女性が残ると言った。 「私達は水商売で男の扱いは慣れてるから大丈夫!みんなは先に行って」 私は彼女達は命の恩人だと思っている。 もし息子がいなかったら、私もソ連兵のサロンに連れて行かれる可能性もあったのだから…。 すぐに逃げる用意をして、私達は彼女達に感謝と申し訳なさをない交ぜにしたまま逃げ出した。 とにかく南下して朝鮮の方まで行かないと。 この時、既に北朝鮮と韓国に分かれているなど私は知らなかった。 実は「韓国にアメリカ軍が来ていて助けてくれるらしい」という話を聞いたから、とにかく南下することにした。
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