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『男も惚れる 上級なカラダの作り方』。
普通男は男に惚れないが、が前提の広告コピー。ただの男性ファッション誌。深い意味はない。来月には店頭に並ぶこともない。でも、こういった文面を見つけるといつも引っかかる。自分も世間に存在しない人間のように扱われている気がするからだ。
運転席のシートベルトを外すとマスクをつけ、助手席の投げてあったパーカーを掴んだ。
入店を告げるチャイムと同時に一気に冷風に包まれる。
深夜のコンビニには自分以外に客が一人、中年の男がカゴを持って惣菜コーナーを眺めている。店員の姿は見えない。
先程見た、駐車場側に表紙を向けられた雑誌が並んでいるであろう書籍コーナーをスルーし、足早に冷凍コーナーに向かう。アイスコーヒーの氷入りカップをつかみ、一直線にレジに進む。
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