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女の子の名前は大山。大きな山なのにちっちゃい頃から背が低くて、学校で並んでもいつもいちばん前で、ずいぶんいじめられました。
一方、大山さんの幼馴染の小山くんは逆にちっちゃい頃から大きくて、どんどん背が伸びちゃって、高校生でもう190センチ。バスケ部のエースでした。
たまに並んで歩いてるとみんなに笑われました。
大きな小山とちっちゃな大山。大山さんはほんとに逆だったらいいのにといつも思っていました。
そしてあの日。
ただの幼馴染だと思ってた2人がそうではなくなった日。
ある夕暮れ時。
小山くんと大山さんが初めてキスをしました。
小山くんは少しかがんで、大山さんは思いっきり背伸びして。2人にとって記念すべき初めてのキスでした。
身長差はあっても、気持ちはどんどん近づいていきました。
付き合い始めて何年か経ったある日、とうとう小山くんがプロポーズしたのです。
運命の瞬間でした。
大山さんは自分が小山になるのかと思うと、とっても嬉しくて、そしてまたとっても不思議な気分だったのです。
2人はよく一緒に話をしています。
小山と大山でよかったなと。
もしそうじゃなかったら出会ってなかったと思うのでした。
そしてこれから2人の間に生まれてくる子どもはどんな山になるのか、今から楽しみにしているのでした。
おわり
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