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真っ黒に染まっている穴の中に落ちた私は、いつも黙っている。 穴はとても深くて、地上にいる家族の中に交わることができない私。 父親、母親、妹達。 私以外の皆が談笑している雰囲気は、温かい橙色に染まっていて、 幸せそうな家族にしか見えない。 私が隣に並んでみると、橙色の横にははっきりとどす黒い空気が見える。 幸せそうな家庭を、私は壊してしまいそうだ。 笑顔で楽しそうに振る舞おうと近づくと、足に鎖がついていて近づけないのか 必ず8メートルも距離がある。 家族なのに...大切な家族の一人なのに、召使いのように扱われている私。 『お前はゴミだ』『生きる価値なんてない』 そんなことを言われている私。 14歳で、15歳になる。 私が交じることができないこの家族を、一刻も早く出ていきたい。
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