レンタルカレシ

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数度のメッセージ交換をして日時やコース時間を決める。1時間に付き3000円からでキャストの人気によってその値段は上がっていく。デートの依頼は2時間からで最低でも6000円はかかるという事になる。支払いは振込みかクレジット。キャストへ直接の現金渡しは禁止になっていた。 『レンタルカレシ・ラバーズ』で三番人気の『REI』を選び、振込みで支払いをして予約をした。2時間の買い物デートに付き合ってもらう。デートに使う費用は全てこちらが支払う。 「しゅりさんだっけ?」 「あ、はい」 買い物をするショッピングモールへ向かう途中、歩きながら話す。大きな手に包まれるように繋がれた右手から、彼の体温が伝わり緊張してくる。 (どうしよう……写真で見た時よりカッコいい……緊張するぅ…) ホームページに掲載されていたキャストの写真。人気順に写真があり、REIが気に入り決めたのだが、実物は写真よりも遥かにカッコよかった。 REI(本名は不詳)、21歳。 身長は180cm、ややスリム体型。オシャレが好きで、イチャイチャ大好き。 「どんな字か訊いていい?」 「うん。朱色の朱に、さとで朱里」 「朱里……ふふっ、綺麗な名前だね」 リップサービスだとしても、名前を褒められて嬉しい。 「俺の事はREIって呼んで」 「REI…」 「うん。今日は2時間で買い物デートだよね。いっぱい楽しもう!」 「うん!」 ショッピングモールの中に入り、手を繋いだまま様々な店を見て回る。REIはオシャレが好きという事もあり、一緒に服を選んでくれた。 服や靴を買った後、カフェに入って休憩する。テーブルに案内されて、REIが申し訳なさそうに言う。 「えっと、俺、出せないけど…」 「うん、いいよ。私が出すから、好きなの選んで」 そう言ってメニューを差し出した。2人で注文の品を選び、店員を呼んで注文する。 「アイスカフェオレを2つ」 店員が電子機に打ち込み尋ねる。 「以上でよろしいですか?」 「はい」 「少々お待ち下さい」 そう言ってテーブルから離れた。REIがポケットから携帯を取り出し、アラームの振動を止める。 「あと20分だよ。何かしたい事はある?」 「ううん。もう十分。買い物楽しかったし、REIに選んでもらえてよかった。ありがと」 満面の笑みでそう言うと、REIはジッと見つめて言った。 「もしよかったら、また会えない?」 「えっ…それって、また依頼して欲しいって事?」 「まぁ……そうなるけど……ただ、一回だけじゃ嫌かなって…」 そう言ったREIの目は真剣で、私はとっさに目を逸らし笑って言った。 「上手いなぁ。そうやって人気上げてるんでしょ! ふふっ、REIカッコいいもんね。私が依頼しなくても、きっと人気ナンバーワンになるよ」 「いや、そうじゃなくて…」 REIが何か言おうとした時、店員がグラスを2つトレーに乗せてやって来た。 「お待たせしました。アイスカフェオレ2つです」 テーブルにグラスを2つ置き、会計表を置いて店員が離れる。ストローに口をつけた瞬間、REIが続きを話す。 「俺も楽しかったから……ただ、もう一度会いたいなって思ったんだ」 少し照れているのか、REIはうつむきながらそう言って、ストローに口をつけカフェオレを飲み始めた。 「ありがと。機会があったらね…」 それだけ言って2人でカフェオレを飲み、会計を済ませて店を出た。手を繋いで待ち合わせ場所に戻り、2時間のタイムリミットが来てその場で別れた。
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