まさかの再会

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1日に午前は2コマ、午後に1コマの計3コマ。それが5日間で15コマ。2年生は週1回、3年生は週2回になっていた。 「あぁ、森下先生」 時間割を見ていた私に、教頭が声をかける。 「はい」 「森下先生は新任でまだ慣れないでしょうから、授業は二限目以降にしています。授業の準備は忘れず、早めに慣れて下さいね」 「はい。ありがとうございます」 授業の準備。授業の内容によって、プリントを用いて授業をしたり、小テストをしたりする。それらを自分で作り印刷したり、授業の内容を復習や予習してスムーズに授業ができるように準備する事だ。 2年生も3年生も各5クラスあり、計10クラスを回るのだ。クラスによって進行具合がずれてくる事もあるし、2年生と3年生で授業内容も違う。気を引き締め、心してかからなくては生徒達が混乱してしまう。 (ずっと夢見ていた英語の先生になれたんだ……頑張らないと…) 翌日、火曜日。 早速、今日から授業が始まる。二限目に3年1組、四限目に3年2組、6限目に3年4組。 初日から3年生を担当するが、コミュニケーションから始めようと考えていた。自己紹介カードというものを作り、名前と特技や趣味など自由に書いてもらい、英会話をしながらコミュニケーションをする。生徒の事を知れるいい機会だ。 一限目はもう1人の英語教師、柴田(しばた)先生が授業に行っている間に準備し、初日の今日は教頭と柴田先生が私の授業を観察しに来る事になっている。授業風景を見て、思った事や助言をもらい、今後の授業に活かす為だ。 一限目終了のチャイムが鳴って10分間の休憩。二限目が始まる少し前に、準備しておいた自己紹介カードと3年生の英会話の教科書、自分のノートや筆記用具を持ち、教頭と柴田先生とともに3年1組の教室へ向かった。 二限目の始まりのチャイムが鳴り、私は教室の前のドアから中に入り、教頭と柴田先生は後ろのドアから中に入る。教卓に向かい生徒達に向かって立つと、1人の男子生徒が号令した。 「起立! 礼!」 その号令と同時に生徒に礼をする。 「着席!」 生徒達が座り、私に注目する。教卓の上に置かれた出席簿を開き、私は生徒達に微笑んで言う。 「では、出席を取ります。名前を読み間違っていたら、ごめんなさい。その時は教えて」 そう断って、出席番号1番の生徒からフルネームで名前を呼ぶ。生徒は返事をし、私は顔を確認する。そうして1人1人名前と顔を確認し、時々、名前を教えてもらいながら出席を取り終えた。 出席簿を閉じて教卓に置き、黒板に向かいチョークを持って自分の名前を書く。 「森下 朱里です。漢字で書くとこう書きます。1年間、よろしくお願いします」 軽く拍手が起き、笑顔で授業を始める。 「まず今日は、この自己紹介カードに、君達の事を自由に書いて下さい。趣味でも特技でも何でも好きな事を書いて、英会話でコミュニケーションをしましょう」 そう話しながら、一列ずつ人数分の紙を先頭の生徒に配る。生徒達は1枚取り、残りを後ろへ回す。 「後ろまでいった? じゃ、10分ほど時間を取ります。書いて下さい」 生徒達が書き始めると、それぞれの列の間を歩いて回り、生徒達の様子を窺う。素直に皆、書いてくれていて少し嬉しかった。 10分経ち教卓に戻って、早速、1人ずつ発表してもらう。まずは日本語で簡単に話してもらい、次に英語で話してもらう。自己紹介くらいなら、わりと皆、英語で話す事が出来、時々、私が英語で質問してみる。 すると、考えながらも英語できちんと答えが返って来た。
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