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 ヨシタカが目を開けると、不安そうな面持ちの瑞波がいた。 「あー、よかった! 戻ってきた! 何か起きたのかと、心配しちゃった!」  いつまでもヨシタカが目を開けないので、何かトラブルでもあったんじゃないかと心配していたようだ。 「二度と目を開けなかったら、どうしようかと思っちゃった」 「心配かけてすみません。ちょっと手間取ってしまって」 「ううん。いいの。私が勝手に心配していただけだから」  いい人だなと思った。そうなると、どうしても手助けしたくなる。  占いだけなら結果を伝えて終わりだが、悪霊払いをしなければ、妹を救うことは出来ない。 「で、どうだった?」 「悪霊が憑りついていました。そのせいで、体調を崩しているようですね」 「あ、悪霊⁉」  瑞波は、吃驚して一瞬仰け反ったが、背もたれがなかったので慌てて戻した。 「どうしてそんなものが?」 「どこかで憑りつかれてしまったみたいです。おそらく……高校で……」 「ヒェ!」  ヨシタカが不必要に声を潜めたせいで、瑞波は震えあがった。 「どうしよう……。ね、どうすればいい?」  瑞波がオロオロして、すがるような目でヨシタカを見る。 「僕も妹さんの体が心配です」 「お願い。助けて」 「そうですね。時間がかかるかもしれませんが、何とか悪霊を追い払って、妹さんを助けてあげましょう」  瑞波の顔に希望の色が浮かんだ。 「何をすればいい?」 「まずは調査が必要で……」  マスターが、そろそろ次の接客をするよう目配せしてきていることに気付いた。  次のお客がヨシタカの占いを待っている。 「これ以上は、大学で話しませんか」 「うん。明日の昼に学食で会いましょう」  待ち合わせを約束して、瑞波は帰っていった。
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