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ありがとうございました。それでは失礼します」
「ちょっと、お嬢さん!」
占い師の方が何か言っていたけど、もう聞きたくないわ。
とにかくジャンの所へ行かなきゃ。
ジャンは、ベンチで座って通りを眺めていた。ふふ。落ちつかないのね。
「お待たせジャン」
「やぁ、フローラ。どうだった?占いは」
「うーん…やっぱり先読みの力ってどれくらい視えてるのか分からないわね。」
「良くない事でも言われた?」
「ううん。ねぇ、ちょっと歩かない?」
私たちは、夕焼け色に染まった空の下をゆっくりと歩いた。
少し予定より遅くなってしまったわ。
そろそろ家の者が、騒ぎ出してるかもしれない。
私達は、広場から外れた所にある庭園まで歩いてきていた。
色とりどりの花が咲いていて、私達以外にもデートをしている方達がいる。
ちょうど庭園を眺められるように、所々ベンチも設置されていた。
私たちは、黙って隣り合わせにベンチへと腰を下ろす。
一緒にいるこの時間が、いつまでも続いたらいいのに。
視線を感じてジャンの方を向くと、熱い眼差しで私を見つめるジャンの顔が間近にあった。
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