私を忘れないで

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ジャン、少し震えてる? 「どうしたの?改まって」 「うん、あのさ、フローラ、明日誕生日だよね。だからさ、その、良ければ、一緒に出かけないか?し、食事でも!」 「私の誕生日覚えててくれたの?」 もしかしてジャンは私をデートに誘ってくれてるの。ふふ。緊張してるのね。声が上擦ってる。 あぁ、ジャン、嬉しい。とても嬉しいわ。 ありがとう。ジャン いけない、からかいすぎたわね私。 あなたとは、決して一緒にはなれないのに。 最後の思い出くらい、作ってもいいわよね。 ねぇジャン 胸の内を悟られないように、努めて明るく答えることにする。 「ふふ、ジャンが私の誕生日覚えてくれるなんて意外だわ。」 いつも通り、茶化して笑いかける。 「忘れたことなんてないじゃないか⁉︎」 ジャンは真剣に答えてくれる。 震えながらもまっすぐに私を見つめて。 かなり緊張しているだろうに。 「えぇ。そうね、いつも祝ってくれるものね。ありがとう。明日も待ってるわ」 「じ、じゃあ、明日迎えに来る。いつもの時間に。それじゃあ行ってくる」 「行ってらっしゃい」
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